3Dのシェーダーの基本とマテリアル設定

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3Dシェーダーの基本とマテリアル設定:牛肉・豚肉・鶏肉・ジビエ

3Dシェーダーの基本概念

3Dレンダリングにおけるシェーダーは、オブジェクトの表面が光とどのように相互作用するかを定義するプログラムです。これにより、リアルな質感、光沢、透明度などを表現することが可能になります。

シェーダーの構成要素

シェーダーは一般的に、以下の要素で構成されます。

  • 頂点シェーダー (Vertex Shader): 3Dモデルの頂点の位置を操作し、カメラからの距離やライティングによる変形を計算します。
  • フラグメントシェーダー (Fragment Shader): 各ピクセル(フラグメント)の色を計算します。ここでは、テクスチャのサンプリング、ライティング計算、マテリアル特性の適用など、最終的な見た目を決定する多くの処理が行われます。

ライティングモデル

シェーダーの根幹をなすのがライティングモデルです。これは、光源からの光が表面でどのように反射・散乱されるかを数学的に表現します。代表的なライティングモデルには以下のようなものがあります。

  • ランバート (Lambertian): 拡散反射(マットな表面)を表現します。表面の法線と光源の方向の内積によって明るさが決まります。
  • フォン (Phong): 鏡面反射(光沢のある表面)を考慮に入れたモデルです。視線方向と反射光線の方向の近さで光沢の強さが決まります。
  • ブリン・フォン (Blinn-Phong): フォンモデルを改良し、計算コストを削減しつつ、より自然な鏡面反射を表現します。
  • PBR (Physically Based Rendering): 物理的に正確な光の挙動をシミュレーションするライティングモデルです。金属度 (Metallic) や粗さ (Roughness) といった物理的特性に基づいて、よりリアルなマテリアル表現を実現します。

マテリアル設定の詳細:肉類とジビエ

肉類(牛肉、豚肉、鶏肉)やジビエといった有機的な素材を3Dでリアルに表現するには、シェーダーとマテリアル設定が非常に重要になります。ここでは、PBRワークフローを前提とした設定を中心に解説します。

基盤となるテクスチャ

リアルな肉の質感を表現するためには、以下のテクスチャが不可欠です。

  • アルベド (Albedo) / ベースカラー (Base Color): 肉の基本的な色合いを定義します。赤身、脂肪、皮などの色を正確に表現します。
  • ノーマルマップ (Normal Map): 表面の微細な凹凸を表現し、陰影をつけることで立体感を出します。筋肉の繊維、脂肪の質感を再現するのに役立ちます。
  • ラフネスマップ (Roughness Map): 表面の粗さを定義します。脂肪部分は光沢があり滑らか(ラフネスが低い)ですが、赤身部分はやや粗い(ラフネスが高い)傾向があります。
  • メタリックマップ (Metallic Map): 素材が金属的かどうかを定義します。肉は通常、金属ではないため、ほとんどの値は0(非金属)になります。
  • サブサーフェススキャタリング (Subsurface Scattering – SSS) マップ: 光が表面に入り込み、内部で散乱してから再び表面から出てくる効果をシミュレートします。肉は半透明な素材であるため、SSSは非常に重要で、肉の「生々しさ」や「しっとり感」を表現する鍵となります。SSSマップでは、光がどれだけ深く透過するか、あるいは散乱するかを調整します。
  • スペキュラー (Specular) / エアクリーン (Clearcoat) マップ (オプション): 特定の光沢や表面のコーティング(例えば、調理後の照り)を表現するために使用されることがあります。

肉の種類ごとのマテリアル設定のポイント

  • 牛肉

    赤身

    • アルベド: 深い赤色からやや紫がかった赤色。脂肪の入り具合で色調が変化します。
    • ノーマルマップ: 筋肉の繊維感を強調します。
    • ラフネス: 繊維の走向に沿ってやや変化をつけ、乾いた部分と湿った部分を表現します。
    • SSS: 比較的高めの値で、光の透過と散乱を強く設定します。

    脂肪

    • アルベド: 白っぽい黄色からクリーム色。
    • ノーマルマップ: 脂肪の塊や油滴のような質感を表現します。
    • ラフネス: 低めに設定し、光沢感を出します。
    • SSS: 赤身よりもやや高めに設定し、より透き通るような質感を表現します。
  • 豚肉

    赤身

    • アルベド: 牛肉よりもやや明るいピンク色。
    • ノーマルマップ: 筋肉の繊維感を牛肉よりやや細かく表現します。
    • ラフネス: 牛肉と同様に、乾湿を意識します。
    • SSS: 牛肉よりもやや弱めの設定で、色味を抑えます。

    脂肪

    • アルベド: 純粋な白色からややピンクがかっています。
    • ノーマルマップ: 豚肉特有の脂身の質感を再現します。
    • ラフネス: 低く設定し、光沢感を出します。
    • SSS: 牛肉と同様に、透き通るような質感を表現します。
  • 鶏肉

    むね肉・ささみ

    • アルベド: 淡いピンク色から白っぽい色。
    • ノーマルマップ: 繊維感を強調します。
    • ラフネス: 比較的均一ですが、部分的に乾燥した質感を出すために調整します。
    • SSS: 低めに設定し、あまり透けすぎないようにします。

    もも肉

    • アルベド: むね肉よりもやや濃いピンク色。
    • ノーマルマップ: 繊維感を強調します。
    • ラフネス: むね肉と同様に調整します。
    • SSS: むね肉よりもやや高めに設定します。

    • アルベド: 黄色っぽい色。
    • ノーマルマップ: 皮のシワや毛穴を表現します。
    • ラフネス: 湿っている部分と乾いている部分で変化をつけます。
    • SSS: 比較的低く設定します。
  • ジビエ (例: 鹿肉、猪肉)

    共通

    • アルベド: 一般的に牛肉や豚肉よりも暗く、赤みが強い傾向があります。種類によって色味は大きく異なります。
    • ノーマルマップ: 筋肉の繊維がより太く、荒々しい質感を表現します。
    • ラフネス: 種類や部位によりますが、牛肉や豚肉よりも乾燥した質感になりやすいです。
    • SSS: 牛肉や豚肉よりも低めに設定することが多いですが、新鮮さを表現するにはある程度のSSSも必要です。

    猪肉 (イノシシ)

    • 赤身: 暗赤色で、脂肪は白く、比較的硬いです。
    • 脂肪: 白く、牛肉や豚肉よりも透明感が少ない場合があります。

    鹿肉 (シカ)

    • 赤身: 明るい赤色から暗赤色まで幅広く、筋肉の繊維が細かく詰まっています。
    • 脂肪: 白く、比較的少ない場合が多いです。

シェーダー設定の注意点

  • コントラスト: 肉の質感を出す上で、アルベドマップのコントラストとノーマルマップの強さが重要です。
  • スペキュラーの調整: 脂肪部分の光沢感を出すために、ラフネスマップやスペキュラーマップを細かく調整します。
  • SSSの重要性: 肉の「生々しさ」や「みずみずしさ」を表現する上で、SSSの設定は欠かせません。光の透過深度や色を調整することで、よりリアルな質感が得られます。
  • バリエーション: 同じ種類の肉でも、部位や鮮度、調理法によって質感が大きく異なります。テクスチャやマテリアル設定でこれらのバリエーションを表現できるように工夫します。

まとめ

3Dシェーダーとマテリアル設定は、3Dモデルに生命を吹き込むための不可欠な要素です。牛肉、豚肉、鶏肉、ジビエといった多様な肉類をリアルに表現するには、それぞれの素材の特性を理解し、適切なテクスチャとシェーダーパラメータを組み合わせることが重要です。特に、PBRワークフローにおけるラフネス、メタリック、そしてサブサーフェススキャタリングといったパラメータの調整は、質感の向上に大きく貢献します。これらの要素を丁寧に設定することで、視覚的に説得力のある、高品質な3Dアセットを作成することが可能になります。