GodotのTileMapを使ったマップ作成の基礎

Gobot

Godot Engine における TileMap を用いたマップ作成の基礎

Godot Engine は、2Dゲーム開発に特化した強力な機能群を提供しており、その中でも TileMap ノードは、タイルベースのマップを効率的に作成するための中心的なツールです。本稿では、TileMap の基本的な使い方から、より高度な活用方法までを解説します。

TileMap ノードの基本

TileMap ノードは、あらかじめ定義されたタイルセット(TileSet)をグリッド状に配置することで、マップを構築します。タイルセットは、ゲーム内で使用する個々のタイル画像と、それらの配置ルールをまとめたリソースです。

1. TileSet の作成

TileMap を使用するには、まず TileSet を作成する必要があります。これは、Godot Editor の FileSystem ドックで右クリックし、「New」->「Resource」->「TileSet」を選択することで作成できます。

2. タイルセットへのテクスチャの追加

作成した TileSet リソースを開き、Inspector ドックの「Texture」プロパティに、タイルとして使用したいテクスチャ(画像ファイル)をドラッグ&ドロップします。複数のタイルが含まれるテクスチャの場合、Godot は自動的にタイルに分割しようとしますが、必要に応じて手動で調整することも可能です。

3. タイルの設定

テクスチャを追加すると、TileSet エディタが表示されます。ここで、各タイルに対してさまざまなプロパティを設定できます。

  • Navigation: タイルが通行可能か、障害物として機能するかなどを設定します。
  • Physics: タイルにコリジョン形状を定義し、物理的な相互作用を可能にします。
  • Occlusion: タイルが他のオブジェクトを遮蔽するかどうかを設定します。
  • Animation: タイルにアニメーションを適用します。

4. TileMap ノードの配置

シーンツリーに TileMap ノードを追加します。Inspector ドックの「Tile Set」プロパティに、先ほど作成した TileSet リソースを割り当てます。

5. タイルの描画

TileMap ノードを選択すると、Editor の Viewport にグリッドが表示されます。Inspector ドックの「Tile」ペインで描画したいタイルを選択し、Viewport 上でクリックまたはドラッグすることでタイルを配置していきます。消しゴムツールを使えば、タイルを削除することも可能です。

TileMap の応用

TileMap は、単にタイルを配置するだけでなく、さまざまな機能と組み合わせてゲームの表現力を高めることができます。

1. レイヤーの活用

TileMap は複数のレイヤーを持つことができます。これにより、地面、壁、前景、後景などを分離して管理することができ、マップの構造を整理しやすくなります。また、レイヤーごとに異なるタイルセットや描画順序を設定することも可能です。

2. オートタイル

オートタイルは、周囲のタイルとの接続に基づいて自動的に適切なタイル画像を選択して配置する機能です。例えば、壁タイルが他の壁タイルや地面タイルに隣接した場合、自動的に角や端のタイルに切り替わります。これにより、手作業でのタイル配置の手間を大幅に削減できます。

オートタイルの設定は、TileSet エディタの「Auto-tile」タブで行います。基本的には、タイル間の接続パターンを定義していく作業となります。

3. コリジョン設定

TileMap ノードは、タイルごとにコリジョン形状を設定できます。これにより、プレイヤーキャラクターやその他の物理オブジェクトがマップ上のタイルと衝突するように動作させることができます。Inspector ドックの「Physics」タブで、個々のタイルにコリジョン形状を追加します。

4. カスタムデータ

各タイルにカスタムデータを関連付けることができます。これは、例えば、特定のタイルがインタラクティブなオブジェクトである、あるいは特定のイベントをトリガーするなど、タイルに特別な意味を持たせたい場合に便利です。カスタムデータは、GDScript からアクセスしてゲームロジックに利用できます。

5. プログラムからの操作

TileMap ノードは GDScript から操作することができます。これにより、ゲームの実行中にタイルを動的に配置したり、削除したり、変更したりすることが可能です。例えば、

  • set_cell(layer, coords, source_id, atlas_coords, align): 指定した座標にタイルを設定
  • get_cell(layer, coords): 指定した座標のタイルを取得
  • clear_layer(layer): 指定したレイヤーをクリア

といったメソッドが利用できます。

パフォーマンスに関する考慮事項

大規模なマップを作成する場合、パフォーマンスへの影響を考慮する必要があります。以下の点に注意しましょう。

  • タイルセットの最適化: 不要なタイルは含めず、テクスチャの解像度も適切に設定します。
  • カリング: カメラに映らない部分は描画しないように、TileMap ノードの「Cull Mask」などの設定を適切に行います。
  • レイヤーの分割: 関連性の低い要素は別の TileMap ノードに分けることで、更新時の負荷を分散させることができます。

まとめ

Godot Engine の TileMap ノードは、2Dゲーム開発におけるマップ作成を強力にサポートする機能です。TileSet の作成からタイルの配置、そしてオートタイルやコリジョン設定といった応用機能までを理解することで、効率的かつ表現力豊かなゲームマップを構築することが可能になります。本稿で解説した基礎知識を元に、ぜひ実際に Godot Engine を使ってマップ作成に挑戦してみてください。